無差別曲線と陰関数定理

昨晩は多様体の勉強に引き続き、ミクロ経済学の教科書を眺めていた。ある一定の効用を与えるベクトル全体の集合を無差別集合というが、中級以下の教科書ではこれを無差別「曲線」という。だいたい2変数で図を書くからね。で、その曲線の傾き、すなわち「限界代替率」を調べる方法についてなんだけど、効用関数をu(x_1, x_2)とすれば、ある効用水準u^*(スカラー)に対して、
u^*=u(x_1, x_2)
だから、これを全微分して、
0=\large \frac{\partial u}{\partial x_1}dx_1 + \frac{\partial u}{\partial x_2}dx_2
となる。このdx_1, dx_2を普通の変数のように扱えるとすると、
\large \frac{dx_2}{dx_1}=-\frac{\frac{\partial u}{\partial x_1}}{\frac{\partial u}{\partial x_2}}
となる。


でも、こういうやり方って好きじゃない。数学的に雑。いかにも物理の人がやりそうな操作でしょ。別に物理の人をどうこういうわけじゃなくて、数学科ならもうちょっと丁寧にやりたいな、と。そういうこと。

で、どうするかといえば、
u^*=u(x_1, x_2)
x_1, x_2についての陰関数表示だから、陰関数定理を使えばそのまま、
\large \frac{dx_2}{dx_1}=-\frac{\frac{\partial u}{\partial x_1}}{\frac{\partial u}{\partial x_2}}
が出る。

または、同じく陰関数定理の別のやり方で、x_2=x_2(x_1)と考えて、x_2x_1微分することも出来る。この場合は、
u^*=u(x_1, x_2(x_1))
となるから、これを微分すると、
\large 0=\frac{\partial u}{\partial x_1} + \frac{\partial u}{\partial x_2}\frac{dx_2}{dx_1}
となるから整理して、
\large \frac{dx_2}{dx_1}=-\frac{\frac{\partial u}{\partial x_1}}{\frac{\partial u}{\partial x_2}}

やはりキチンとやったほうが、任意のn変数の時でも余計な言い訳(dx_j=0とする、など)をしなくてもスッキリと結論が出て見通しがよい。

ただ、一番最初のやり方の方が直観的といえば直観的だけどね。