選好および効用関数

ここに書いているのはあくまで「メモ」ということで、本ブログに出すまでの舞台裏みたいに思っていて下さい。というか、ここまでたどり着く人もあまりいないとは思うが。

えーっと、アタマの中では(連続な)効用関数の存在の証明をあーでもない、こーでもないと考えている。

経済学ではよく「合理的」という言葉を使うけど、僕の見たところこれには2つある。まずは「選好」の合理性。そして「選択」の合理性。

「選好の合理性」とは極めて数学的なアイディアで、全ての財からなる集合上に定義された二項関係が次の3条件を満たすことを云う。
(1)完備律 任意の財x,yについてx\succeq yまたは y\succeq x
(2)反射律 任意の財xについてx\succeq x
(3)推移律 任意の財x,y,xについてx\succeq y, y\succeq zならばx \succeq z
思うに反射律は完備律からいえる気もするんだが、完備律はどんな財も比較可能だ、ということで好みがハッキリしていることをいい、推移律はそれが日常的な意味での矛盾がないということを要求している。

この3条件は経済的な意味から汲み取られてきた公理であって、実はこの選好から別の関係を定義できてそれが同値関係となる、ってことがミソなんじゃないかと思っている。x\succeq yかつy\succeq xのとき、x \sim yと定義する。反射律を2回使うとx\sim xがいえる(\simの【反射律】。x \sim yならばx \succeq yかつy \succeq xだから当然にy \sim xもいえる【対称律】。で、\succeqの推移律から\simの推移律も導くことができる。よって\simは財の集合上に定義された同値関係と云うことになる。同値関係だとわかれば直ちにそれで割って商集合が定まる。この商集合からRへの関数(同値類から実数への対応)はおそらくツォルンの補題(というか選択公理か)を使うとその存在がいえるのではないだろうか。2段階のルートを経ることになるが、これが効用関数となるのは明らかであろう。

この状態では、単に関数の存在が云えそうなだけで、元々の選好を全く反映していない。同値類は無差別集合と同値になるのだが、これに順序をつけなければならない。このへんは今のところよくわからないが、それほど難しくはないのでは無かろうか。この順序が入れば正しく選好関係を表した効用関数が作れる。この効用関数は微分可能かどうかはおろか、連続である保証もない。辞書式選好は合理的な選好ではあるが、連続な効用関数を導けないことが知られている。そこで、元の選好の方に連続性を仮定しなければならないが、連続性を仮定するっていうことは財の集合が位相空間になっていなければならない。そんなこといつ仮定したっけ?まぁ、普通は有限次元か無限次元かわからんけど、ユークリッド空間を財空間としているからもちろん位相空間だ。ということで、選好の連続性を仮定する。つまり、x_n\succeq y_nなる任意の収束する点列\{(x_n,y_n)\}を考えると、この極限(x,y)x \succeq yを満たす。この条件をつけると連続な効用関数が導けるらしいんだが、まだそこまでは至らない。

ちなみに「合理的な選択」というのは単に選好に沿った選択、つまり、他によりより選択肢があり、またそれが選択可能である時に、それを躊躇なく選択するってこと。経済学への批判の多くはこの部分へ向けられているような気はする。それが本当にベストな選択といつも確信して選択できるのか、とか。