効用関数の存在 Krepsの場合

Kreps(Notes On The Theory Of Choice (Underground Classics in Economics))の本を見たら分かり易い証明が載っていた。大学院の定番教科書MWG(Microeconomic Theory)はDebreu(Theory of Value: An Axiomatic Analysis of Economic Equilibrium (Cowles Foundation Monographs Series))の本と似たようもので、さらに単調性まで仮定している。statementにはないんだけど、証明では単調性を仮定している。

Krepsの書くものはだいたいどれも分かり易い。彼の元で優秀な研究者が育つ理由が分かる気がする。Krepsもユダヤ系だと思うけど、僕が教わったBob RosenthalやRussel Cooperも似たような雰囲気がある。ユダヤ人って人を育てるのが上手いのかね。

Krepsの本ではまず有限集合上の選好から効用関数を導き、それを可算集合に拡張。それから最終的なより一般的な集合上でのものを証明している。その際(連続性の代わりに)キーになる条件が集合の可分性。数学科の人ならだいたい知っているだろうけど、経済学の人は聞き慣れないかもしれない。ようは稠密な部分集合を持てば元の集合は可分な集合。というか、これが稠密の定義だったりして。つまり、集合Xの部分集合Aの閉包がXと等しければXは可分。AはXの稠密な部分集合という。ユークリッド空間の場合稠密な部分集合は可算集合だから、一段階前の定理からこの部分集合上での効用関数が定義できる。それを上手く隙間を埋めて全体に拡張するようだ。

参考文献

  1. Notes On The Theory Of Choice (Underground Classics in Economics) David Kreps
  2. Microeconomic Theory Andreu Mas-Colell, Michael Whinston, Jerry Green
  3. Theory of Value: An Axiomatic Analysis of Economic Equilibrium (Cowles Foundation Monographs Series) Gerard Debreu