やっぱり怪しい

効用関数の存在について考えていた。すっきりいかない。Debreuの本を読んでいると、思ったよりも構成的な方法みたいだ。くやしいので遠くから眺めている。

まず、下で書いた「R2からRへの全単射は存在しない」というのも怪しい。というのもペアノ曲線がひっかかる。あんまりよく知らないんだけど、連続な曲線で平面を埋め尽くすという曲線。ただ、多分これは開区間(0,1)×(0,1)ならオッケーだけど、閉区間[0,1]×[0,1]はダメっぽい。

全単射が存在するかどうか微妙な時に、その存在を証明するのに便利な定理がBernsteinの定理だけど、今回は「存在しない」ことを証明したいわけで使えない。ちなみにBernsteinの定理とは(記憶で書いているので間違っていたら後で訂正)、AからBへの単射が存在し、またBからAへの単射が存在すれば、AとBの濃度は等しい、というもの。「単射」が「全射」でもよい。でもって、濃度が等しいことの定義は全単射が存在することだから、Bernsteinの定理の条件が満たされれば、全単射が存在することになる。

この定理が便利な例は(0,1)開区間と[0,1]閉区間の濃度が等しいことの証明など。直接全単射の存在を証明しようとしてもムリくさいが、それぞれからの単射の存在を云うのは易しい。

辞書式選好はやっかいだ。これを避けるために選好の連続性を仮定すると、効用関数の存在だけでなく、その連続性まで導けてしまう。論文のレトリックとして「連続でない効用関数は面白みがない」みたいな書き方してるけど、本音はどうだろうね。僕としては、どこまで仮定を弱められるか興味があるし、なによりもっとも原始的な効用関数が存在するためのギリギリの条件って重要だと思う。

とりあえず、今分かっていることは、無差別集合からなる集合は選好の完備性と推移性から全順序集合であること。全順序であればその順序に従って実数を割り当てていけばよいだけな気もするが、わからん。ちなみにこれが半順序だとある極大元と別の極大元とが順序づけられていないからまずいことになる。

もう今日はねよう。