メモ

利息制限法を巡るあれこれ: マーケットの馬車馬に関するメモ。


何らかの市場の失敗が存在するとしても貸出金利の上限を正当化することは出来ない。
異なる経済主体のインセンティブ(この場合、返済へのインセンティブ)を比較することは危険で、おそらくこの場合不適切。異なる主体間の効用の比較につながるので。
企業向けの貸し出しにおいても「自然な上限金利」などというものは存在しないだろうと思うが、それについての反論はしない。数学用語を使えば、金利に上界が存在することは明らかなので、実際に観察される金利の分布に上限があるように見えるのは当然。それと消費者金融との金利の間に質的な違いがあるといえば、僕はないと思う。単に保証人や担保の存在、評判の問題であり、それは企業であるとか個人であるとかは無関係。企業であっても無保証・無担保であれば(金利が高くなるか、通常は)貸出枠が相当に制限される。

根本的に多重債務問題を軽減したいという気持ちは全員が共有していることであるが、その構造の分析を誤れば導かれる政策も誤る可能性が非常に高い。そして金利を制限することは下策中の下策であり、別の方法でやるべき。特に僕が推奨するのはピグー税(この場合金利への課税)だし、なにより、多重債務問題をゼロにすることは不可能である、という現実を直視することから始めないと話しにならない。