なぜ変分法?

えっと、すぐ下で変分法について書く、と書いているけど、何故僕が変分法を勉強しようとしているのかがこの文章からはわからなさそうだったので追記。

今の学部で学ぶ経済学と大学院で学ぶ経済学の間には大きな溝があって、学部では数理計画法という数学手法がまぁ十分なんだけど、それは関数に最大値を与えるを求めるという静的な(static)なもの。大学院ではそれでは全く不十分で関数の関数、すなわち汎関数に最大値を与えるような関数を求めるような動的(dynamic)な数学的手法が必要となる。それは経済学のどの分野でも応用されているから、今後は学部でも教えられていくようになるはずだし、なるべきである。(classicalな)変分法というのは、経済学で使われている最適制御理論の初歩なので、まずそこから始めよう、というのが僕の計画。

僕自身は大学院でDynamic Programmingとか最大値原理というものを教わったのだけど、最大値原理については教わったというよりはアプリケーションとしてのマクロモデルで無理矢理形式だけ詰め込まされただけだし、DPに関しても丁寧に教わったにもかかわらず全然理解できなかった。それはやはりひとえにクラシカルな変分法(classical calculus of variation)を知らなかったことが大きな原因であろうと思われた。いや、それ以前に解析学全般に関する基礎が欠けていたのが大きい。解析学の本質は各種の収束にあるが、単純な数列の収束から級数の収束、関数列の収束だとか1変数の微分可能性やら多変数の微分可能性、測度などを学んでいると大分自信がつく。

というわけで、変分法について学び、それからどんどん進んで現代経済学で用いられる手法を一通り書いてしまおうというのが僕の考えで、それが終わってからか、その過程でやるかは別にしてマクロ経済学を応用例として紹介していきたいと考えている。その他の例もStokey-Lucasの本にはたくさん出ているのでそれを勉強するのも有意義かなぁと思っている。読者諸氏は僕の計画に付き合ってもらい、コメントを寄せてもらえれば幸いである。