Match Point

飛行機に乗っています。機内でWoody AllenのMatch Pointという映画を見終わったところ。ウッディアレンらしい映画で面白かった。けど、ちょっと重いなぁ。

ストーリーは変形の3角関係で、大金持ちの息子と仲が良くなった主人公(クリス)が妹(クロエ)に気に入られ付き合うのだが、その兄の婚約者(ノーラ)にそれと知らずに恋してしまう。ここからがウッディアレンらしいのだけど、決して綺麗なものではなくて、もっと泥臭く人間関係や心情を描写していく。そしてラストに向かってアレンらしい話の展開が進む。

ちょっとした諍いから兄の婚約者の感情が揺れ主人公と情事を犯す。しかし彼女は婚約者を愛しているためその後は自制する。そのうち主人公は大金持ちの娘と結婚し、義父の仕事を手伝うことになり、重要な仕事を任されるようになる。しかし、義理兄はノーラと別れてしまい、それを聞いたクリスの心は揺れる。偶然、ノーラと再開し再び情事を犯す。不倫は続きノーラは妊娠をする。それを知ったクリスは逃れられない事態に陥ったことを悟る。。。

単なる不倫を描いた作品といってしまえばそれまでなんだけど、もちろんそれだけでない心の動きが重たくて苦しい。まぁ、エンディングはアレンらしくて僕は好き。シニカルなんだけどコミカルで、独特のタッチ。

ウッディアレンの映画にはいくつかのおおざっぱなジャンルがあって、自分自身が出ているものと出ていないものであったり、コメディだったりドラマだったり、いろいろある。今回のものは重た目のドラマかな。ショーンペンとサマンサモートン(だっけ?)が主演したSweet and Lowdown(ギター弾きの恋)は恋愛ドラマでとても好きだけど、こっちは恋愛が絡んではいるけど、ドラマだな。内容はすっかり忘れたけど、Manhattanとかも似たような系統のドラマだろうか。基本的に本人が出ていない方が面白いのが彼の作品の特徴。彼が出ていて面白いのは純粋なコメディだね。Annie Hall(アニーホール)なんかは最高に面白いと思ったけど、人によるのだろうか。一応アカデミー賞とっていたはず。Manhattan Murder Mysteryはサスペンスで珍しいけど、とても面白い。エンディングへのもって行き方が今回のMatch Pointに似ているかも。60年代の大昔のものはドタバタが多いんでどれがどれだか覚えていないけど、大分観たなぁ。でも毎年1本映画を撮っているから、とても追いつかないけどね。タイトルで面白かったのが、

Everything you always wanted to know about sex*

(*but were afraid to ask)

っていう映画。内容は全く覚えていない。タイトルが強烈で覚えている。Sex and The CityというNYを舞台にしたアメリカのドラマがこれをパロっているんだけど、気付いた人はアメリカ人も含めてどれくらいいるのだろうか。オープニングに出てくるバスの広告に

Carrie Bradshaw knows good sex*

(*and isn't afraid to ask)

って出てるんだよね。こういう引用が映画とかドラマでたくさんあって、それに気付くとなんだかうれしいよね。一番多く引用されている映画って何だろうか。ゴッドファーザーはかなり出てくるし、スターウォーズなんかも多そう。もっとも、映画の中で映画を引用しているのは引用ではないと思うんだけど、どうかな。例えばスタンリーキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」で「雨に唄えば」のワンシーンを真似ながら暴行を働くシーンがあるけど、これは映画の中で映画を真似ているわけだから、引用とは言えないのかなぁ、と。

あと、面白かったのが、ミュージカル仕立ての「世界中がアイラブユー」。とても明るくてハッピーにさせてくれる映画だった。ウッディアレンの映画でこういうのはむしろ少数だろう。どっちかというと人生の複雑さであったり、切なさであったり、そういうものを描くのが多いんじゃないだろうか。ま、とにかく映画らしい映画で僕は好きです。